全身が毛でおおわれているワンちゃんネコちゃんの身体、気が付かないうちにノミやマダニの巣窟になっているかもしれません こんにちは、動物再生医療センター病院です。 今回は、ノミ・マダニの予防についてお話します。
ノミは春から秋にかけて、気温が13℃以上になると活発になり大量発生しやすくなります。お家の中はノミにとって一年中快適な温度に保たれています。冬場だからといって絶対に安心ではないのです。 夏真っ盛りでは、卵から孵化して成虫になり、また卵を生むまでに最短で2週間ほどしかかかりません。それを繰り返し、爆発的に繁殖してしまいます。
ノミに刺された場所や唾液に対するアレルギー反応によって、強いかゆみを伴う皮膚の急激な炎症(ホットスポット)が引き起こされることがあります。特に子犬や子猫の場合、大量のノミに吸血されることで貧血を起こす可能性があります。
瓜実条虫(サナダムシ)の幼虫が寄生しているノミをワンちゃん、ネコちゃんが食べてしまうことで感染します。幼虫は体内で50cm以上に成長します。 肛門を気にするようになったり、下痢や嘔吐を起こしたりすることがありますが、多くの場合瓜実条虫の体の一部である片節がうんちと一緒に排泄される事で発見されます。
人がノミに刺されると激しいかゆみがおこり、ひどい場合はアレルギーになって水ぶくれのような状態になります。
ネコちゃんにひっかかれたり咬まれたりすることで感染する人獣共通感染症です。バルトネラ菌が原因となり、猫ノミを介してネコからネコ、ネコから人へと伝播します。ネコちゃんが感染してもほとんど無症状であることが多いですが、人が感染すると受傷数日後に発赤丘疹がみられ、化膿や潰瘍に発展することもあります。免疫力の低下がみられる患者や高齢者では重い合併症を起こす場合もあります。
マダニは季節や場所を問わず、日本全国どこにでも生息しています。中でも特にマダニが多く潜んでいる場所として知られているのが、お散歩コースとして最適な山林や川原の土手などの草むらです。 ただ、「別に山や川へは行かないから」と安心している人も要注意。都市部の公園にもマダニは潜んでいる可能性があります。さらに、以前は犬だけに寄生すると思われていたマダニが、最近になって猫にも寄生することが明らかになってきました。 春、気温の上昇と共にマダニの成虫が卵を産み始めます。孵化した幼ダニは吸血しながら3~4か月かけて成長し、また次の卵を産み繁殖します。夏、秋には成虫だけでなく増えた若ダニや幼ダニが多く発生してくるため年間を通したマダニ対策が重要になります。
ノミと同様に、マダニに刺された場所やマダニの唾液に対するアレルギー反応によって、強いかゆみを伴う皮膚の急激な炎症(ホットスポット)が引き起こされることがあります。子犬や子猫、体格の小さなワンちゃん・ネコちゃんの場合、大量のマダニに吸血されることで貧血を起こす可能性もあります。
バベシア原虫が犬の赤血球に寄生することによって赤血球が壊され、貧血や発熱、食欲不振などの症状がでます。急性の場合は黄疸や衰弱などによって亡くなってしまう可能性もあります。 以前は「犬バベシア症」は西日本特有のものとされてきましたが、今では関東以北でも発生が認められるようになり、全国的に感染のリスクがあることがわかってきました。
ワンちゃんでは多くの場合無症状である場合が多いですが、急性症状として元気消失、食欲不振、跛行や起立不能、発熱が見られることがあります。人に感染した場合、皮膚症状、起立不能、歩行異常や神経過敏などの神経症状 、関節炎などがみられます。
マダニが媒介するリケッチアという病原体による病気で、ワンちゃんへの感染では多くの場合無症状であることが多いですが、人に感染すると全身の発疹などの症状だけでなく、死亡する場合もある大変危険な病気です。
ウイルスによる感染症で、2013年に日本でも初めて死亡例が報告されました。マダニがウイルスを媒介している可能性があり、注意が呼びかけられています。犬や猫での発症は報告されていませんが、人が感染すると発熱、消化器症状(食欲低下、嘔気、嘔吐、下痢、腹痛)、頭痛、筋肉痛、意識障害や失語などの神経症状、リンパ節腫脹、皮下出血や下血などの出血症状が起き、死に至る可能性もあります。
ワンちゃんネコちゃんを病気やウイルスから守るために、しっかりとノミ・マダニの対策を行いましょう。予防薬は動物病院のみで取扱いのある効果の高い動物用医薬品を使用することをおすすめします。定期的にノミ・マダニ予防薬を使用しながら、お散歩やお出かけ、キャンプなど、ワンちゃんネコちゃんと楽しい生活を送りましょう。 詳しいご案内はこちらをご覧ください。