獣医師様へ To veterinarian

間葉系幹細胞(MSC)を使用する細胞治療

⽪下脂肪由来間葉系幹細胞の適応症例

イヌやネコの様々な疾患に⽪下脂肪由来の間葉系幹細胞(以下MSC)を投与した研究が報告されています。患者⾃⾝の脂肪由来(⾃家)のMSCも、健常な個体の脂肪由来(他家)のMSCも、安全な環境下で培養され、適切な細胞数を投与することで、重篤な副作⽤は報告されていません。

イヌにおいては、MSCのもつ抗炎症作⽤を期待して、関節炎の症例に対し、患部への直接投与が⾏われています。関節炎患部の炎症抑制、鎮痛が認められ、結果的には跛⾏の改善が認められています。

また、MSCのもつ免疫調整作⽤や免疫抑制作⽤を踏まえて、⾃⼰免疫疾患である乾性⾓結膜炎(MSCの局所投与)や炎症性腸疾患(静脈点滴投与)にも適応され、それぞれの疾患において著しい臨床的改善が報告されています。

今後、適応が期待できる疾患

獣医療分野では、MSCの持つ抗炎症・免疫抑制作⽤を踏まえて、主に関節炎など外科症例、⾃⼰免疫疾患への適⽤が報告されています。MSCを静脈点滴で投与する場合は、MSCの効果が患者⾃⾝の⾝体全体に行き渡ることから、免疫異常をきたしている⾃⼰免疫疾患症例などに対しては、MSCの効果が⼤きく期待できると⾔えます。

また、MSCを損傷部位などに局所的に集中して投与することで、投与部位の⾎管形成が促されることが期待され、⾻折や虚⾎性の疾患にも適応の可能性が考えられます。

適応疾患を慎重に⾒極める:図