外耳炎ってどんな病気?
外耳炎とは、外耳(耳の入り口から鼓膜まで)に起きる炎症で、ワンちゃんやネコちゃんでは日常的にみられる病気のひとつです。
外耳炎には、症状が急激にひどくなるケースと、すこしずつ悪くなり、経過が長期に及ぶケースとがあります。前者を急性外耳炎、後者を慢性外耳炎と呼びます。
急性外耳炎の場合には、耳介と外耳道(イラストの垂直耳道と水平耳道を合わせた部分)が赤く腫れ、慢性外耳炎では、耳介が厚くなり、色素が沈着することで色が黒っぽくなり 、外耳道が狭くなっていきます。
こんな症状があれば要注意!
外耳炎になると、耳が痛くなったり、かゆくなったりするため、以下のような症状がみられます。
- 耳を地面などにこすりつける
- 耳をひっかく
- 頭を振る
- かゆみや痛みのある耳を下にして傾ける
- 悪臭がする耳だれ(耳漏)
- 耳の脱毛
- 音や声への反応が鈍くなる
- 耳血種(血液の貯留により耳介が膨れた状態)
外耳炎になるのはどうして?
外耳炎は、なんらかの基礎疾患(原因となる疾患)により外耳道の形が変化したり、もともとある外耳道の自浄作用(組織内部の悪いところを自力で改善するようなはたらきのこと)が低下することで、 その結果として細菌やマラセチア(カビの一種)などの二次感染を引き起こすと考えられています。
外耳炎を引き起こす基礎疾患とそれによる二次的な問題には以下のようなものがあります。
- 外耳炎を引き起こす基礎疾患
- 寄生虫:耳ダニ、ニキビダニ、マダニ
- 過敏症:アトピー、食物アレルギー、
接触性皮膚炎 - 異物
- 腫瘍
- 構造的な問題:重く垂れ下がっている耳、狭い耳道・耳道狭窄、
耳道内の毛 など
- 外耳炎による二次的な問題
- 細菌感染
- マラセチア感染、
- 中耳炎
- 耳道狭窄 など
外耳炎の診断は、病歴と臨床症状によって行います。当院では、細菌やマラセチア感染の有無だけではなく、それを引き起こす基礎疾患についても診断していきます。
また必要に応じて耳鏡検査、細胞診、細菌培養検査、画像診断を組み合わせて行います。
外耳炎の治療はどうやるの?
まずは耳洗浄を定期的に行います。これはご自宅で行っていただく場合もあれば、病院内で行う場合もあります。
また、痛みを伴っている場合や、外耳道が腫れて狭くなっている場合などには、プレドニゾロン(副腎皮質ホルモン剤)を投与することもあります。
二次感染としてマラセチアの感染がある場合は、軽症であれば点耳薬を、重症であれば抗真菌薬を投与します。
外耳炎がなかなかよくならないのだけど?
外耳炎は再発を繰り返し、なかなか治らない難治性外耳炎となることがあります。このような場合、外耳炎の基礎疾患をコントロールできていない可能性があります。
例えば、基礎疾患として耳ダニが存在する場合、耳洗浄や点耳薬だけでは良くならず、駆虫薬での治療を行わなければなりません。
当院では可能な限り、基礎疾患の治療も視野に入れて治療を行い、その子その子に合った治療を提案させて頂きます。耳の痒みやにおいでお悩みの方はお気軽にご相談ください!
当院での症例紹介
【犬 ミニチュアダックスフンド 6歳】
左耳から耳垢が出てくるとのことで来院されたため、左耳の中を観察しました。
耳道の壁が凸凹しており、たくさんの耳垢がみられました。
耳垢の検査では、マラセチアが確認されました。
もともと、アレルギー性皮膚炎のためのお薬を飲んでおり、痒みはひどくなかったため、内服は追加せず、数回の耳洗浄で経過を見ることにしました。
関連リンク
犬の外耳炎について。 原因や症状、治療法を解説【獣医師監修】
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