副腎皮質機能亢進症
副腎皮質機能亢進症とは?
副腎は、左右の腎臓の近くにある、副腎皮質ホルモン(コルチゾール)を分泌する内分泌器官です。このコルチゾールは、糖代謝や脂質代謝、タンパク質代謝、体の免疫系やストレスに対する作用などさまざまな働きを担っています。
副腎皮質機能亢進症は、コルチゾールが過剰に分泌されることにより、さまざまな症状が引き起こされた状態をいいます。中高齢のワンちゃん・ネコちゃんでみられ、「クッシング症候群」と呼ばれることもあります。
コルチゾールは体に大きな影響を与えるホルモンであり、様々な症状が挙げられます。
- 多飲多尿(飲水量が増え、尿量が増す状態)
- 食欲が異常に増加し、肥満になる
- お腹が膨らむ
- 皮膚の厚さが薄くなる
- 痒みを伴わない左右対称性の脱毛
- 皮膚の色素沈着
- 筋力の低下(動きが鈍くなる)
- 嗜眠(しみん:睡眠を続け、強い刺激を与えなければ目覚めて反応しない状態)
当院での症例
犬 ミニチュア・ダックスフンド 10歳
持病があり、定期的に血液検査を行っていたところ、肝数値が上昇してきたため、精密検査を目的に来院されました。
なお、自覚症状としては多飲多尿、食欲の増加傾向が挙げられました。
エコー検査では、左副腎の肥大をみとめ、追加の血液検査と尿検査を行いました。その結果、副腎皮質機能亢進症であると判明したため、内服による治療を始めました。
その後、定期的に検査を行い、量を調整しながら投薬を続けています。現在は多飲多尿の症状は落ち着き、良好にコントロールできています。