椎間板ヘルニア

症状

トイプードル 男の子 9歳

ある日、散歩中に突然バランスを崩し、歩き方が変になったそうです。その後、興奮して走り回ろうとするときに、痛がるようになり、少しずつ元気がなくなったため、かかりつけ医を受診したところ、精密検査が必要との事で愛甲石田どうぶつ病院へ来院されました。

頸部椎間板ヘルニアが疑われたため、診断と原因部位の特定のために CTとMRI検査を実施することにいたしました。

画像検査

翌日、全身麻酔を行い、CTとMRI検査を実施しました。

CT検査は、頸部椎間板ヘルニアの原因となる、骨のような固い物質の把握が可能になり、MRI検査は、CT検査だけでは確認が不十分な、背骨の中の神経の状態の把握が可能になります。

CTとMRI検査の結果、頸部椎間板ヘルニアと診断いたしました。

頸部椎間板ヘルニアは、椎骨の間をクッションのように守る働きである、椎間板の中身が飛び出し、神経を圧迫することで痛みや麻痺を引き起こす疾患です。

本症例では、以下の画像上で、逸脱した椎間板物質が確認できました。

椎間板物質(丸印)が飛び出すことで、神経を圧迫してしまいます。
CT・MRIで背骨の横断面を撮影しました。椎間板物質(丸印)が脊髄内に飛び出しているのがわかります。

症状が軽い場合は、首の固定や、鎮痛剤の投与などの内科療法となりますが、重度になると、足のふらつきや痛みだけではなく、呼吸不全になることもあるため、圧迫している椎間板物質を取り除く手術が必要になります。

今回の症例は椎間板物質(上述の椎間板の中身)による神経の圧迫が重度であったため、圧迫物質を取り除くための外科手術を提示しました。

治療

来院から約1週間後に、首のヘルニアの手術(ベントラルスロット法)を行いました。

ベントラルスロット法は頸椎(首の骨)の腹側(ベントラル)から穴(スロット)を開けることで、神経を圧迫する椎間板物質を除去する外科手術です。

手術後は安静を保ったまま入院し、術後4日目に改善傾向が見られたため退院となりました。 その後定期的に再診に来て頂いていますが、痛がる様子もなく、現在は正常に歩けるようになりました。


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