頭蓋内腫瘤

症状

フレンチブルドッグ 男の子 9歳

2か月前から全身性の”痙攣”などの、てんかん様発作を認め、かかりつけ医を受診し、そこで抗てんかん薬を処方されました。

かかりつけ医受診の10日後、食欲低下、嘔吐、ふらつきがあり、再度かかりつけ医にて対症療法を行いましたが、薬を減らすとまた”ふらつき”が再発する状態となってしまいました。

1ヶ月ほど経過しても、”ふらつき”の症状はあまり改善されず、首を痛がる様子も確認できたため、原因を突き止めるために、愛甲石田どうぶつ病院をご紹介いただきました。

画像検査

神経学的検査を実施した結果、頭蓋内疾患の可能性があることが分かりました。

また、抗てんかん薬の治療を受けているにも関わらず、徐々に”ふらつき”の進行が認められたため、症候性てんかんを疑い、診断のためMRI画像検査を実施いたしました。

MRI検査は、通常のレントゲンと異なり、頭の中のような特に固い骨に囲まれた組織の状態を把握することができます。

検査の結果 小脳、脳幹部、大脳、脊髄領域に占拠性病変(腫瘍を疑うもの)が存在し、悪性腫瘍と診断いたしました。

頭蓋内のがんの場合、がんが健常な脳組織を圧迫するため、痛みや悪心に加え、“ふらつき”やてんかん発作、性格の変化などの神経症状が現れる場合があります。

頭部縦断面のMRI画像。腫瘍を疑う病変が認められました(丸印)。
頭部横断面のMRI画像。縦断面の画像と同じ部位に腫瘍を病変が認められました(丸印)。

治療

治療は以下のものから患者の状況に合わせて選択することになります。

  • 外科手術による腫瘤摘出
  • 化学療法(抗がん剤治療)
  • 放射線療法

一方でこれらの治療法は強い薬や放射線を使用しているため、少なからず副作用が生じたり、全身麻酔をかける必要が生じたりします。

これらを踏まえて飼い主さまと相談した結果、今回は化学療法や放射線療法といった積極的な治療はせず、現状の状態を落ち着かせる対症療法を行うことになり、抗炎症のためのステロイドと脳圧降下のための利尿剤を処方しました。

2週間ほど経過し、食欲は少し改善することができましたが、少しずつ立ち上がるのが難しい状態となり、さらに2週間ほど経過した後、亡くなってしまいました。

一覧へもどる

カテゴリー