獣医師が解説

膀胱炎ってなに?

体の中でおしっこをためる役割をしている「膀胱」で、さまざまな原因によって炎症が起きる病気です。 膀胱炎は繰り返しやすく、様子を見てしまうと尿道閉塞という命に関わる状態になってしまうことがあるため早期発見、適切な治療が大切な病気です。膀胱炎の特徴的な症状は3つです。それぞれわかりやすく解説していきますね。

  1. 血尿
    おしっこが赤くなるのはもちろんですが、血が少量だと、おしっこの色はピンクやオレンジになることもあります。また、膀胱の中で固まった血がおしっこの中に点々と見えることもあるのでよく観察しましょう。

  2. 頻尿
    さっき行っていたのに、またトイレに入っているということはないですか?トイレに何度も出入りしている場合は頻尿の可能性があります。気を付けてみてあげましょう。

  3. トイレ以外でおしっこしてしまう
    膀胱炎による残尿感で、トイレに間に合わずおしっこしてしまうこともあります。いつも使っているベッドが濡れていたりしませんか?確認してみましょう。また、残尿感が気になっておしっこの出口を頻回になめることもありますので、注意してみてみましょう。

 

 膀胱炎の原因は?

膀胱炎の原因は大きく分けて3つです。

  1. ストレスなどの環境因子
    若いネコちゃんで特に多いのが特発性膀胱炎=原因不明の膀胱炎です。なんと50%以上のネコちゃんが「特発性膀胱炎」だといわれています!細菌感染もおしっこの結晶もないにもかかわらず炎症が起こってしまうのが特徴です。現在は研究段階ではありますが、ストレスや肥満が関わっているのではないかといわれています。

  2. おしっこの結石や結晶
    おしっこに石?と思われるかもしれませんが、おしっこには体で不要になったミネラルが含まれています。これらのミネラルやその他おしっこの成分が膀胱の中で固まってできるのが結石です。結晶は、まだ石になる前の状態で顕微鏡でしか見ることができません。

  3. 細菌感染
    おしっこの出口は外の環境とつながっています。バイ菌がおしっこの出口から膀胱の中に入り込んでしまうことがあります。特に、免疫力の弱いお年寄りのネコちゃんでなりやすいといわれています。

 

病院でどんな治療をするの?

一言で膀胱炎といっても、原因によって治療法は様々です。

細菌感染の場合

おしっこの中に細菌が見つかって、細菌感染による膀胱炎が疑われる場合は、細菌をやつけてくれるお薬である抗生物質を使います。お薬は、飲み薬が一般的ですが、どうしてもお薬が飲めないネコちゃんは注射でお薬を投与することもあります。お薬に不安のある方もお気軽にご相談ください。

結石の場合

石の種類に応じては、食事の成分を変えるとのおしっこの成分が変わってできていた結石が溶けてしまうこともあります。また、膀胱から直接石を取り除く手術を行うこともあります。

環境因子の場合

ネコちゃんの生活環境を細かく問診させていただいて、飼い主様とともに改善策を考えていきます。トイレの数やトイレの場所、ごはんの場所の確認や落ち着ける場所の準備はよくお話しする項目です。そして、お水をしっかり飲めているかも確認します。膀胱炎の場合、お水をしっかり飲ませてあげることがとても重要となります。

生活環境の問診を通して、ネコちゃんにより良い環境を作るお手伝いをさせていただきます。

 

 最後に

ネコちゃんは自分の不調をとても上手に隠します。「ちょっとおしっこの回数多いだけだし…」と思っていると病気が知らぬ間に進行していく可能性があるので、おしっこの回数やおしっこの色に変化を感じたときにはぜひ早めに当院にご相談ください。

ネコちゃんの膀胱炎は、早期に発見すれば短い治療期間で直してあげられる可能性もあります。おしっこの変化にお気づきの際は当院に、ご相談ください。