犬の椎間板ヘルニア、48時間神話の崩壊…
1978年出版のCanine Neurology Third Editionの中で、B.F.Hoerlein博士は、犬の胸腰部椎間板ヘルニアハンセンI型において痛覚が失われた症例、すなわち神経学的グレード5では48時間以内に手術を行なわれなければならないことが明白になったと述べている。この本が登場して以来、多くの獣医神経病学の参考図書として引用され、犬の椎間板ヘルニアハンセンI型グレード5は48時間以内に手術を…と記載されている。
しかしながら、近年、Andersonら(1991年)、Scottら(1999年)、Olbyら(2003年)、Nodaら(2007年)、Fujiyamaら(2007年)などの多くの報告で犬の椎間板ヘルニアにおいて深部痛覚が消失後48時間以上経過した症例においても術後の回復が証明されている。Olbyらの報告においては深部痛覚消失後2週間以上経過した症例においても回復をしている。ただし、深部痛覚がなくなって48時間以内に手術を行なった症例においても、多くの報告で歩行回復は約40〜60%である。
すなわち、椎間板物質が逸脱突出したときに脊髄にどのくらいの損傷をうけているかにより多くの症例では予後決定がなされていると思われる。
犬の胸腰部椎間板ヘルニアハンセンI型神経学的グレード5における48時間以内に外科的治療をという神話は多くの神経外科獣医師において現時、否定されております。
症状が出てから時間が経ってしまった。もう治らないと言われた。
そのような方々からのご相談も受け付けております。
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