股関節脱臼に対する外科手術症例
アニコム愛甲石田どうぶつ病院は、股関節脱臼の症例に対して最新の医療器具を備え、その子にとって最高の診断及び治療法を提示させていただいております。
概要
股関節とは、骨盤と大腿骨がつながっている関節のことです。
股関節脱臼とは、大腿骨が股関節からずれたり、完全に外れてしまったりした状態のことを指します。
原因
股関節脱臼の原因としては、以下のものが考えられます。
- 外傷
交通事故や転倒、落下など、外部から強い力が股関節に加わった時に脱臼が起こります。
- 股関節の緩み
股関節が緩くなる病気を抱えていると股関節脱臼を起こしやすくなります。
代表的なものは、副腎や甲状腺など内分泌系の異常により筋肉の緊張が低下するような病気や、股関節形成不全、レッグ・カルベ・ペルテス病などの骨格異常があると関節がしっかりはまらずに脱臼しやすくなります。
- 筋肉の萎縮
高齢になり筋肉が弱くなるとお尻の周りにある筋肉である臀筋が弱くなり、この筋肉が弱ることで関節のサポートができなくなるため、わずかな衝撃でも股関節脱臼を起こしてしまうことがあります。
症状
股関節脱臼では、歩き方の異常や疼痛が主な症状として現れます。
足を挙げている、足をかばうように歩く、お尻のまわりを触ると嫌がる、痛がるなどの症状があった場合は股関節脱臼を疑います。
治療
股関節脱臼の治療には、手術をしないで脱臼を元に戻す処置である「非観血的整復」と手術によって脱臼を整復する「観血的整復」に分けられます。
非観血的整復
手術を行わず、脱臼を手で戻します。
脱臼を整復するには通常は痛みを伴うのと、筋肉を弛緩させ戻しやすくするために鎮痛剤と短時間の麻酔が必要となります。
脱臼の方向により方法は異なりますが、脱臼を整復したのちに包帯をしばらく巻き、再脱臼を防ぎます。
一度整復できても再脱臼のおそれがあり、何度も繰り返す場合は観血的整復を行います。
観血的整復
非観血的整復では脱臼を戻すのが難しい場合や脱臼を繰り返す場合、変形性関節炎や骨折がある場合などに選択されます。代表的な手術方法には、大腿骨の股関節に入る部分である骨頭を切除する方法、脱臼整復後にピンで固定する方法、股関節を人工関節に置き換える方法などがあり、わんちゃんの脱臼の程度に合った方法で手術を行います。
大腿骨頭切除術について
股関節脱臼におけるもっとも代表的な手術方法です。
大腿骨の股関節に入る部分である骨頭を切除する方法であり、痛みの原因となる股関節の摩擦を取り除きます。
線維性偽関節を形成させることで股関節の機能を回復し、歩行機能の改善を目的とします。
股関節脱臼の他、股関節形成不全やレッグ・カルベ・ペルテス病などでの治療として実施することもあります。
筋肉の萎縮を防ぐため、術後早期にリハビリテーションを開始することが重要です。
Q&A
- どのような検査をしますか?
触診により股関節の可動域や筋肉の萎縮、筋肉の左右差、痛みの有無などを検査します。
確定診断はレントゲン検査にて行います。検査は無麻酔で実施可能です。
- 治療にかかる費用はどのくらいですか?
大腿骨頭切除術を行った場合は167,000円になります(麻酔代を含めます)。
術後は入院して経過をみさせていただくため別途費用がかかります。
- 股関節脱臼を予防する方法はありますか?
交通事故や落下するような状況を避けるように、散歩中はリードをつける、高いところにのぼらせない、飛び降りさせないなど気を付けましょう。
小さなわんちゃんにとっては、ソファーやベッドほどの高さでも、高いときがあります。また、体重が増加すると関節に負担がかかるため、太らせないようにしましょう。
当院での治療例
他院にて非観血的整復を行ったが改善しないという主訴で来院されました。
来院時は右後肢を挙上させており、非観血的整復で改善していないことから大腿骨頭切除術を行いました。
当院で実査に手術をした動画になります。
当院での手術は、痛みが最低限で早期に回復できるよう努めております。
愛甲石田どうぶつ病院では、股関節脱臼の診断、治療、術後のリハビリ療法を実施しています。
股関節脱臼と診断された、治療をしたけれども改善が乏しいなどお悩みの方はお気軽にご相談ください。