その足の痛み、治せるかもしれません(前十字靭帯断裂)
アニコム愛甲石田どうぶつ病院は、前十字靭帯断裂の症例に対して最新の医療器具を備え、その子にとって最高の診断及び治療法を提示させていただいております。
概要
前十字靱帯とは、膝関節の中にあり太ももとすねを結びつける靱帯です。この前十字靭帯は後十字靭帯とともに後ろ足の運動機能に関わり、特に1.膝が太ももより前に出ないように制限、2.膝の過剰な進展を防止、3.すねが内側へねじれないように制限、などの役割を担っています。
前十字靭帯断裂とは、この前十字靭帯が何らかの原因で切れてしまう病気です。
当院での治療例
当院で前十字靭帯断裂と診断して外科手術を行った子をご紹介いたします。
手術前
手術前の状況です。歩くと左後ろ足を挙げてしまっています。
この子は何年も前から左足の挙上がみられている状態で当院を受診しました。
経過が長いこともあり、内科治療での改善は限定的と判断し、外科手術を行いました。
手術動画
こちらの動画では太い糸で前十字靭帯の代わりを設置する、関節外法という手術を行っています。当院での関節外法の手術時間は30分かかっていません。
手術後
手術後6日目の歩行シーンです。
左後ろ足でしっかりと着地し、とても嬉しそうに歩いていることがわかります。
原因
前十字靭帯が切れる原因は、靱帯の変性と急激な外力が加わることの2つが関与しています。
変性する理由は様々で加齢、肥満、ホルモン疾患や膝蓋骨脱臼などの基礎疾患などがあります。急激な外力は外傷や急なジャンプやターンなどによります。
その結果前十字靭帯が切れることで発症します。
症状
前十字靱帯が切れた直後は強い痛みがあり、患肢を挙げたままになります。触ろうとするだけで怒ることもあります。
小型犬では数日すると痛みが軽減し、通常時は足を着けるようになることもありますが、運動時にはまたびっこや挙げたままの状態になってしまうことが多いです。
肥満や大型犬の子では症状はより顕著になります。
切れたまま時間が経つと関節炎などで関節が腫れることも少なくありません。
治療
内科治療
小型犬などの膝に負荷が少ない子は、痛み止めや運動制限で症状が緩和され、元通りの生活が送れるようになることがあります。内科治療で改善が乏しい場合は外科手術が適応になります。
外科手術
Q&A
前十字靭帯断裂を予防する方法はどのようなものでしょうか?
日常からできることとして体重管理が大切になります。適切な食事や運動をして肥満にならないよう心がけましょう。また、滑りやすい床にはマットを敷く、足裏の毛が伸びすぎないようにする、など負担がかかりにくくしてあげることも有効です。
内科管理で自宅でできることはありますか?
安静にして痛みが引くのを待ってあげることが重要になります。安静にすることに加え、痛みや炎症を抑えるための薬や膝関節の負担を防ぐサプリメントなどを投与していただきます。
その子のために最善の治療方針をご提案させていただきます。
外科手術の費用はどのくらいでしょうか?
前十字靭帯断裂の手術料金は167,000円~になります(麻酔代を含めます)。術後は入院して経過をみさせていただくため別途費用がかかります。
前十字靭帯断裂を放置しているとどうなりますか?
膝関節に負担がかかり続け、骨同士のクッションをする半月板が損傷を起こしたり、関節炎を引き起こしたりして、より重度の障害につながります。また逆足への負担が大きくなるため、逆足も前十字靭帯断裂を起こしてしまうこともあります。
早期に適切な治療をしてあげることが大事になります。様子を見る前にご相談下さい。
愛甲石田どうぶつ病院では、前十字靭帯断裂の診断、内科治療、外科手術、術後のリハビリ療法を実施しています。
前十字靭帯断裂と診断された、治療をしたけれども改善が乏しいなどお悩みの方はお気軽にご相談ください。