柴田動物病院

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どうぶつの病気

Disease

2022.07.23

胆のう粘液嚢腫への外科症例

柴田動物病院(アニコムグループ)は、胆のう粘液嚢腫の症例に対して最新の医療器具を備え、その子にとって最高の診断及び治療法を提示させていただいております。

概要

胆のうは肝臓からの分泌液を、胆汁(たんじゅう)として貯留させるための袋状の臓器です。

食べ物が胃から小腸を通る際に胆のうが収縮して小腸へ胆汁を分泌します。

胆のう粘液嚢腫ではこの胆汁の流れが悪くなり、うまく胆汁を分泌できなくなる疾患です。

胆のう粘液嚢腫が進行すると胆のうが固くなり破裂してしまうことがあり、その場合は命に関わることもあります。

原因

正常では胆汁の性状はさらさらとしていますが、胆のう粘液嚢腫では胆汁がゼリー状になり、粘稠性が高くなることで発症します。

胆汁の性状が変化する原因としては食事性の他、肝臓疾患や内分泌疾患、代謝性疾患などが考えられています。

症状

元気消失、食欲減退、腹部圧痛、嘔吐、黄疸などがあります。

健康診断で発見されるような無症状のものから、胆のうが破裂して急にぐったりするといった緊急性の高い病態まで様々あります。

治療

胆汁の性状を正常化するために食事コントロール、利胆剤、抗菌剤などの内科治療から開始します。

内分泌疾患など他の基礎疾患がある場合は併せて基礎疾患の治療を行います。

内科治療への反応が乏しく悪化が予想される場合や、既に胆のうが破裂してしまった場合は外科的に胆のう内の洗浄や胆のう摘出を行う必要があります。

Q&A

  • どのような検査をしますか。

胆のうの病変が疑われる際は血液検査、超音波画像検査を行います。

原因疾患や治療法を決定するためにレントゲン画像検査、内分泌検査、胆汁の細菌培養検査をご提案させていただくこともあります。

  • 胆のう粘液嚢腫が悪化した場合どうなりますか。

行き場のなくなった胆汁が胆のう拡張させて胆のう炎を引き起こしたり、感染を起こしたりすることで体調が悪くなってしまいます。

最悪、胆のうが破裂してしまった場合、胆汁は周囲の組織にとても強い炎症を引き起こし、致死的な腹膜炎を発症します。

  • なぜ手術が必要なのでしょうか。

胆汁は肝臓で常に作られており、産生後に胆のうに貯留、その後小腸に排出するという一連の流れが必要です。

この流れが悪くなってしまうと肝臓や周囲の臓器に負担がかかり、その結果肝炎、胆のう炎、膵炎などを引き起こしたり、ときには破裂して腹膜炎を引き起こしたりすることがあります。

内科治療での治療反応が乏しい場合は胆のうを摘出することで胆汁が肝臓から小腸へ直接流れるようにします。

  • どのよう場合、手術が適応になりますか。

内科治療で胆のう粘液嚢腫が改善しない場合は胆のう摘出が適応になります。

具体的には内科治療をしているにもかかわらず、胆のう内のゼリー状の物質が減らなかったり、胆のう炎を引きおこしていたりすると外科手術が適応になります。

ただし胆のう粘液嚢腫が改善していなくても、基礎疾患や年齢を考慮して内科治療を継続することもあります。

その子の病態に合わせた治療法を提案させていただきます。

  • どのような手術をしますか。

胆のう摘出の際は、胆のうの根元を糸で結紮し、胆のうを切除します。

ただし肝臓から小腸へ胆汁を分泌する管(肝菅や総胆管)など、細かな構造物を巻き込まないようにしたり、切除前には総胆管内につまりがないか確認したりと、とてもデリケートな手術です。

胆汁に細菌が繁殖していないか確認する細菌培養検査や、胆のうや肝臓の機能を調べる病理組織学的検査を併せて行うこともあります。

手術の際には出血のリスクや麻酔時間短縮のために、電気メスやシーリングデバイスといった最新の医療器具を使用しており、その子にとってなるべく負担の少ない手術を心掛けております。

  • 胆のうを摘出しても大丈夫なのですか。

胆のうは胆汁の貯留と分泌が機能のほとんどを占めており、その機能自体は摘出することに大きな問題ありません。

ですが、小腸から肝臓へ感染を起こしやすくなったり、一時的に便が緩くなったりと、術後のケアが必要になることがあります。

まずは内科治療でのコントロールを目指し、それでも改善しない場合は手術を検討する、ということになります。

その子にとって最良の治療法をご相談させていただき、術式を決定いたします。

  • 手術費用はどのくらいでしょうか?

手術費用は98,000円~になります(麻酔代込み)。

術前検査や入院、投薬代など別途費用がかかります。

  • どのように予防したらよいでしょうか?

胆のう粘液嚢腫の厳密な原因は特定されておらず、完全な予防は困難です。

原因のひとつには食生活が偏っていることがわかっており、おやつや人の食事を与えることが多いと発症しやすくなります。

食事だけでは完全に予防しきれないこともありますので、その際は早期発見と早期治療がとても重要です。

無症状でも健康診断で胆のう粘液嚢腫がみつかることは少なくありません。

中高齢になりましたら定期的な健康診断に超音波画像検査を併せて行うことをお勧めいたします。

健康診断の詳細につきましては病院スタッフまでお問い合わせください。

当院での治療例

超音波画像検査で胆のう粘液嚢腫がみつかったワンちゃんに胆のう摘出を行いました。

実際の手術動画です。

柴田動物病院では胆のう粘液嚢腫の内科治療、外科手術を実施しております。

胆のう粘液嚢腫が心配なので画像検査で確認してほしい、などご心配事がありましたらお気軽にご相談ください。

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