くずのは動物病院

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どうぶつの病気

Disease

2022.08.30

犬の慢性腎臓病(慢性腎不全)

概要

腎臓はワンちゃんの体の中で、
・血液から尿をつくり体の中で不要になった老廃物や毒素を尿の中に排泄する
・血圧や体の中の水分の量を調節する
・血液(赤血球)をつくるホルモンを分泌する
などの働きを担っている臓器です。
腎臓がダメージを受けて十分に機能しなくなる状態を「腎不全」といいます。
これが長期間続くと慢性腎臓病(慢性腎不全)と診断されます。

腎臓は一度悪くなってしまうと治療をしても完治はできませんので、なるべく早期に発見して進行を遅らせる治療をするのが重要となります。

原因

細菌感染や免疫の異常による腎炎、外傷、薬物などによる中毒、心臓病やショックなどによって腎臓への血液の供給が減少する、結石などによる尿路の閉塞、遺伝的な要因などさまざまな原因があります。

症状

初期は無症状な期間がありますが、その後、飲水量が増え、尿量が増す多飲多尿の症状が現れます。進行すると体重減少や嘔吐、貧血などの症状がみられるようになり、尿毒症まで発展すると元気消失、痙攣などの症状も引き起こすことがあります。

慢性腎臓病のステージ分類

IRIS(国際獣医腎臓病研究グループ)が推奨しているステージ分類を行うことによって治療の方針を決定します。ステージ分類は、血液検査によるCRE(クレアチニン)やSDMAの値、尿の状態、血圧の数値などを参考に行います。
一度の検査だけでなく、定期的に検査を繰り返して病状を正確に把握することが大切になります。

ステージ1

症状は全くみられず、血液検査でも異常値は見つかりません。
尿検査で尿比重の低下や蛋白尿、腎臓の形状の異常が認められることがあります。

ステージ2

慢性腎臓病で最初に見られる症状である「多飲多尿」が起きるようになります。
腎機能が低下してくると尿を濃縮できなくなるため、薄い尿を大量にするようになります。
そのため水分不足になり、水をたくさん飲むようになります。
このステージでは、まだほとんどの子で元気・食欲が普通にあり、なかなか異常に気付かないことがあります。しかし、腎機能は正常の4分の1にまで低下しています。
この段階では体調維持に必要な腎機能が残っており、再生医療により腎機能低下の進行を抑える効果が期待できます。

ステージ3

さらに腎機能の低下が進むと、老廃物などの有害物質を尿中に十分排泄することが出来なくなるため、尿毒症を発症し始めます。食欲の低下や嘔吐などの症状が表れ始めます。
加えて、血液検査で腎機能の指標となる数値である、CRE(クレアチニン)、BUN(尿素窒素)の上昇がみられるようになります。また、腎臓は赤血球の成熟に必要なエリスロポエチンというホルモンを分泌しています。慢性腎臓病になるとエリスロポエチンを正常に分泌することが出来なくなるため、貧血が起きることもあります。
この段階では生命維持に必要な腎機能が残っているため、再生医療により慢性腎臓病の進行を遅らせ、QOL(生活の質)の維持・改善が期待できます。

ステージ4

重篤な臨床症状がみられる時期です。
尿毒症がさらに進行し、積極的な治療なしでは生命維持が困難になります。

一般的な治療

慢性腎臓病ですでに破壊されてしまった腎臓の組織は、残念ながら治療をしても回復しません。そのため、血液中の老廃物や毒素を体内に貯めすぎないようにして体調を維持すること、そして慢性腎臓病の進行をできるだけ緩やかにすることが治療の主体となります。

まずは食事療法によりタンパク質やリンを制限した食事に変更し、腎臓に負担をかけないようにします。また、点滴(静脈点滴や皮下点滴など)により体液を増やすことで尿量を増やして老廃物の排泄を促します。点滴には脱水を補う目的もあります。腸の中で尿毒素のもとになるタンパク質やリンを吸着して、便と一緒に体外に排泄させるようなサプリメントや、高血圧を防ぐために降圧剤などのお薬を投薬する場合もあります。

再生医療(幹細胞治療)

当院では進行性の慢性腎臓病(慢性腎不全)に対して、再生医療(幹細胞治療)を実施しています。幹細胞治療は従来の治療薬とは異なる作用で腎臓の炎症や線維化を抑制することで腎機能を改善し、臨床症状の改善と安定化を示す働きがあることが報告されています。

特にIRIS腎臓病ステージ2・3に分類される軽~中等度の慢性腎臓病(慢性腎不全)に対して効果が期待できます。
従来の治療法に幹細胞治療を加えることで腎機能の低下をさらに緩和させ、ワンちゃんの良好なQOL(生活の質)をより長く維持させることを目標としています。

Q&A

  • 再生医療はどのように行うのですか?
    点滴にて静脈内に幹細胞を投与します。麻酔の必要はありません。

  • 今行っている治療は中止しないといけないのでしょうか?
    一般的な腎臓の治療と並行して幹細胞治療を受けていただくことができます。今まで行っていた治療は継続していただきます。

  • 再生医療にかかる費用はいくらでしょうか?
    幹細胞投与にかかる費用は1回7万円となります。その他、点滴代や検査代が別途かかります。

  • 再生医療による副作用はありますか?
    これまでのところ、重篤な副作用は報告されておりません。投与後の一過性の発熱、嘔吐や下痢などが数例報告されております。

  • どんな子でも効果が期待できますか?
    残念ながら、すべての症例で効果が認められるわけではないと考えられています。特に、ステージが進んで重篤な症例では効果がないことがあります。慢性腎臓病と診断された場合はお早めにご相談下さい。

くずのは動物病院では、慢性腎臓病(慢性腎不全)の一般的な治療に加え、再生医療を実施しています。
慢性腎臓病(慢性腎不全)と診断された、治療をしたけれども改善が乏しいなどお悩みの方はお気軽にご相談ください

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