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実際の治療例等

Disease

2021.07.21

肛門嚢破裂

肛門嚢破裂とは

ワンちゃんネコちゃんには肛門の両脇に肛門嚢という器官があります。

肛門の左右(時計に例えれば 4 時と 8 時の位置)にあり、この中に悪臭がある分泌物(液体からペースト状)が入っています。この分泌物が「肛門嚢液」、あるいは「肛門腺液」などと呼ばれているものです。


通常、ウンチをする時に肛門腺が圧迫されて、ウンチと共にこの分泌物が排泄されます。ところが、生まれつきこの肛門腺が出にくかったり下痢などによる炎症が原因で排出する穴がふさがってしまっていると、肛門腺を分泌できず貯留しすぎてしまうことで、肛門嚢が破裂してしまいます。

分泌物がたまりやすい子は定期的に絞ってあげる必要があります。肛門腺絞りの方法をレクチャーすることも可能ですので、受診された際にお気軽にご相談ください。

 

当院での症例

猫 mix 17歳

お尻から何か出ていて、気にしている様子とのことでご来院されました。

視診にて右側の肛門嚢が破裂と診断し、肛門嚢の洗浄を定期的に行い、同時に抗生剤を注射薬で投与いたしました。継続して治療し、完全に傷口が閉じたため、治療終了といたしました。

治療前
治療後

犬 ブルドッグ 3歳

肛門からの出血を主訴に来院されました。
視診にて両側肛門嚢破裂と診断し、抗生剤の内服と定期的な洗浄処置を実施しました。表皮欠損部の良化と症状の消失により治癒と判断し、治療終了としました。

猫 mix 8歳

臀部からの排膿のため来院されました。院内では興奮してしまっていたため、鎮静下にて破裂部位の治療を実施しました。

肛門嚢破裂部位周囲を毛刈りし、洗浄と消毒を行い、抗生剤を処方しました。お薬を飲みながら、自宅での洗浄を続けていただくと、膿がたまっていたところに、新たな組織ができはじめ、その後傷は小さくなりました。

2か月を経過する頃にはかさぶたも剥がれ、治療終了としました。その後も肛門腺(液)が溜まっていないか、定期的にチェックしています。

左:肛門嚢が破裂し、穴があいています。
右:術後1週間後の写真です。新しい組織が増生しています。
左:術後2週間後の写真です。前回よりさらに良化しています。
右:術後1ヶ月後、完治といたしました。

犬 トイプードル 9歳

お尻の腫れと出血で来院されました。
視診したところ、右の肛門嚢が破裂していたため、破裂部位を洗浄し、内服薬を処方いたしました。

2日後の再診時には破裂部位も小さくなり、出血も治まったため、再度洗浄と内服薬を継続し、1週間後に破裂部位は完治したため治療終了といたしました。

その後も肛門腺(液)が溜まっていないか、定期的にチェックしています。

左:来院当日の写真です。右側の肛門嚢が破裂し、穴があいています。
右:処置後1週間の写真です。破裂部位が閉じています。

犬 チワワ 5歳

お尻がただれているとのことで来院されました。
左の肛門嚢が破裂していたため、患部周囲の毛を刈り、洗浄しました。また、内服薬も処方しました。
3日後の再診では再度、排膿・洗浄を行いました。
その後、肛門嚢の腫れはなくなり、傷口もきれいに治りました。

左の肛門嚢が腫れ、破裂しています。

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