慢性腸症(CE)
わんちゃんの慢性腸症を対象に、細胞治療を行っています。
わんちゃんの慢性腸症は、小腸や大腸の粘膜に原因不明の慢性的な炎症を引き起こし、食欲不振、嘔吐、下痢といった症状をもたらす病気で、自己免疫の異常が原因の一つとして言われています。
一般的には食事療法、抗菌薬、副腎皮質ステロイド剤による治療により症状が改善されますが、難治性の場合、これらの治療を行っても十分に効果が得られず、死亡に至ることもあります。
細胞治療は、細胞のもつ炎症を抑える働きや、免疫バランスを調整する働きを利用することで、従来の治療で効果がなかったわんちゃんに対しても、腸の炎症を抑え、便の改善や食欲の回復が期待できる最先端の治療法です。
当院が行った、わんちゃんの難治性慢性腸症を対象とした細胞治療の臨床研究では、約8割のわんちゃんに症状の改善が認められました。
具体的には、細胞投与の前後で腸内の症状の改善が内視鏡検査で確認されました。また、血液中のアルブミン濃度(※)が基準範囲まで回復し、便の状態の改善が確認されました。
(※)タンパク質の一つで、体の浸透圧維持や血液中の様々な物質を運搬する役割を果たし、栄養状態の指標ともされています。慢性腸症に罹患するわんちゃんの特徴の一つとして、低アルブミン血症があります。
慢性腸症の治癒過程の様子回腸の内視鏡画像
十二指腸組織の病理画像
細胞治療の流れ
【問診】
【検査】
【治療】
*遠方からの通院の場合、投与後の再診回数はご相談に応じます*内視鏡検査は当院では実施しない場合がございます
*標準治療を未実施の場合は細胞投与前に標準治療を実施する場合がございます
慢性腸症についてお悩みの飼い主さまがいらっしゃいましたら当院までお電話いただくか、お問い合わせフォームよりご連絡下さい。