獣医師が解説 犬のIBD(炎症性腸疾患)

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犬の繰り返す下痢や長引く下痢の原因4種

犬が下痢をする原因は、多種多様です。

病気だけでなく、ストレスなどの精神的なものや、食べ過ぎ、食べ慣れないものを食べたことによる胃腸への刺激によって下痢をしてしまうケースもめずらしくありません。
また、特に治療を行わなくても2~3日でいつもの良い便に戻る場合もあります。

ただし、下痢が長期間(3週間以上)続く、再発を繰り返す、日に日にひどくなるといった場合には、感染症、膵炎、慢性腸症(CE)、腫瘍、消化管内異物の可能性など、さまざまな疾患が疑われます。



感染症による下痢

下痢を引き起こす可能性がある感染症には、寄生虫性疾患(犬回虫、コクシジウム、ジアルジア、クリプトスポリジウムなど)、細菌性疾患(Clostridium perfringens、Clostridium deifficileなど)、ウイルス性疾患(犬ジステンパー、犬パルボウイルスなど)があります。

各種検査によりこれらの病原体が見つかれば、それに応じた駆虫薬・抗菌薬などを投与します。
病原体は薬に抵抗性をもつこともあり、このような場合、うまく薬が効かないことや、一時的に良くなっても数日後に再発してしまうことがあります。
そのため症状が改善したように見えても再検査をし、完全に病原体がいなくなっていることを確認することも大切です。



膵炎による下痢

膵炎は程度によって症状が大きく異なります。
一時的な下痢・軟便などの軽い消化器症状のみが見られる軽度な場合から、全身的な炎症反応を引き起こし短期間のうちに死亡するといった重度な場合までさまざまです。
膵炎は症状や、血液検査・画像検査などによって総合的に診断されますが、そもそも様々な病気から二次的に発症することも多く、膵炎以外の病気が隠れていないか、しっかり検査をすることが大切です。


慢性腸症による下痢

対症療法を行っても下痢や嘔吐、食欲不振などの消化器症状が長期間続いている、または再発を繰り返す場合には、慢性腸症(CE)と診断されることがあります。

慢性腸症の病態はまだ不明な点が多く、腸粘膜の持続的な炎症や、腸柔毛などの構造破綻が症状の発現に関与していると考えられています。

一般的には食事療法、抗菌薬、副腎皮質ステロイド剤による治療により症状が改善されますが、難治性の場合、これらの治療を行っても十分に効果が得られず、死亡に至ることもあります。

当院では、これらの症例に対して細胞治療を行なっています。
細胞治療は、細胞のもつ炎症を抑える働きや、免疫バランスを調整する働きを利用することで、従来の治療で効果がなかったわんちゃんに対しても、腸の炎症を抑え、便の改善や食欲の回復が期待できる最先端の治療法です。

当院が行った、わんちゃんの難治性慢性腸症を対象とした細胞治療の臨床研究では、約8割のわんちゃんに、何らかの症状の改善が認められました。

詳細はこちらをごらんください。

慢性腸症(CE)



消化管型リンパ腫などの腫瘍性の下痢

慢性的な消化器症状が続いている場合、腫瘍性の疾患である可能性も否定できません。
消化器症状が出る腫瘍の中でも特に発生頻度が高いものが、消化管型リンパ腫になります。
血液検査や超音波検査などの画像検査で腫瘍を疑う明らかな異常が見つかることもありますが、中には画像診断だけでは診断不可能なものもあるため、腫瘍性の疾患が疑われる場合には内視鏡検査などにより腸の組織生検を行い、病理学的な診断を行う必要があります。


まとめ

このように同じ下痢であっても多種多様な原因・病気が考えられ、治療方法もさまざまです。2~3日経っても下痢がおさまらない場合には、早めに動物病院で受診、検査をおこなってください。





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