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猫伝染性腹膜炎(FIP)とは

猫伝染性腹膜炎(FIP)

猫伝染性腹膜炎(FIP)は、猫、特に子猫の命に関わる重篤な疾患です。 多くは1歳未満の子猫で発症し、食欲不振、活動性の低下、発熱、体重減少などの症状が起こり、発症から数日~1ヶ月以内に亡くなることも多い非常に致死性の高い疾患です。

これまで長い間、猫伝染性腹膜炎(FIP)は「不治の病」「致死率99.9%」とされておりましたが、近年有効な治療薬が発見され、治療することのできる病気となっています。 病院によっては未だに安楽死を推奨される場合がありますが、大切な命を絶対に諦めないでください。

当院では、モルヌピラビルを使用することで、1症例あたり100,000~150,000円※ほどで猫伝染性腹膜炎(FIP)に対する治療を実施することが可能です。(当院では国内正規品を使用しており、保険適用可能となる場合がございます。保険適用についてはご加入の保険会社にお問合せください。)
※別途、診察料や検査料がかかります。

また、間葉系幹細胞を用いた再生医療による有償臨床研究(30,000円~)も実施しております。 ※費用は税別となります。また、診察料・検査料は別途必要となります。

診察をご希望される方は、当院までお電話いただくか、お問い合わせフォームよりご連絡下さい。

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「猫伝染性腹膜炎(FIP)」の原因

猫伝染性腹膜炎(FIP)の原因

猫伝染性腹膜炎(FIP)は、「猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV)」というウイルスにより引き起こされるウイルス性感染症と考えられております。

猫伝染性腹膜炎ウイルスは「猫腸コロナウイルス(Feline coronavirus : FCoV)」がストレスなどの何らかの要因によって病原性の高いウイルスに突然変異したものと考えられています。

猫腸コロナウイルスは、飼い猫・野良猫を問わず、日本の多く猫が持っているとされているウイルスで、まれに下痢を引き起こすことがあるものの、病原性は低く、ほとんどは感染しても症状をあらわすことはありません。

ところが、このウイルスは、猫に感染しているうちに、病原性の高い「猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV)」に突然変異を起こすことがあります。
そしてこの猫伝染性腹膜炎ウイルスに対し、体の免疫がうまく反応できないと、「猫伝染性腹膜炎(FIP)」を発症すると考えられています。

猫腸コロナウイルスが、猫伝染性腹膜炎ウイルスに突然変異する原因として、“ストレス”の可能性が考えられていますが、残念ながら猫伝染性腹膜炎ウイルスへ突然変異を確実に予防する方法は見つかっていません。

そのため、なるべく猫腸コロナウイルスに感染しないようにする工夫が大切です。
猫腸コロナウイルスは主に感染した猫の唾液やウンチから排出されたあと、他の猫の口や鼻から侵入することで伝染していきます。

親猫が感染していたり、感染している猫と毛づくろいし合ったり、多頭飼いの環境があると、感染する可能性が高まります。

一方で病原性の高い猫伝染性腹膜炎ウイルスは、便中へ排出されることがないため、猫から猫への感染は起きないと考えられています。
また、コロナウイルスによる感染症ではありますが、ヒトの「新型コロナウイルス」とは別物で、ヒトが猫腸コロナウイルスや猫伝染性腹膜炎ウイルスに感染することはありません。

「猫伝染性腹膜炎(FIP)」の症状

猫伝染性腹膜炎(FIP)には以下のような初期症状がある場合が多く、発症から数日以内に死亡してしまう可能性もあるため、このような症状を見つけた場合にはすぐに動物病院に相談しましょう。

・食欲が落ちている
・元気がない
・抱っこした時に体がいつもより熱い、耳を触ると熱い
・体重が減ってきた
・耳の内側や、白目部分、口のなかが黄色っぽい
・下痢、嘔吐が2日以上続いている
・お腹がふくらんできた
・呼吸が苦しそう

猫伝染性腹膜炎(FIP)の症状

FIPに感染し、お腹がふくらむ猫

「猫伝染性腹膜炎(FIP)」の種類

猫伝染性腹膜炎(FIP)の症状

猫伝染性腹膜炎(FIP)には、2つの種類(ドライタイプ、ウェットタイプ)があります。
ウェットタイプとドライタイプのどちらのタイプを発症するかは、猫伝染性腹膜炎ウイルスに対する免疫反応の違いが関係していると言われています。
また、必ずどちらのタイプだけになるというものではなくドライタイプとウェットタイプのどちらの症状も同時に発症する「混合タイプ」や、最初はドライタイプだったけれども、途中でウェットタイプにもなるということもあります。

【ウェットタイプ】
・猫伝染性腹膜炎(FIP)の多くはこちらのタイプに分類されます。
・おなかや胸に水が溜まり、大きく膨れてきます。その水が肺や消化器を圧迫することで、呼吸困難や食欲低下などの症状を引き起こします。
・嘔吐や下痢などの消化器異常を引き起こす場合があります。
・進行が速く、症状の発生から数日以内に急死する可能性があります。

【ドライタイプ】
・様々な臓器に小さなしこりが発生する「肉芽腫性炎」という特殊な炎症が起きます。
・眼に発生すれば、ぶどう膜炎(目が濁ったようになる)や虹彩炎(虹彩が腫れたり、充血する)などの症状がでる場合があります。
・脳内に発生すれば、眼振(眼球が小刻みに揺れる)、斜頚(頭が斜めに傾く)、マヒや痙攣などの神経症状を引き起こします。腎臓や肝臓、腸などに発生すれば、黄疸や下痢などの症状が現れることがあります。

【混合タイプ】
・ウェットタイプとドライタイプ、それぞれの症状が同時に発生します。

「猫伝染性腹膜炎(FIP)」の診断

ウェットタイプの場合は、お腹や胸に溜まっている腹水や胸水の性状を調べたり、細胞診検査、PCR検査を行ったりすることで確定診断を行います。

ドライタイプの場合は、超音波検査で“しこり”が認められ、その細胞を採取することが出来れば、PCR検査により猫伝染性腹膜炎ウイルスの存在が証明できます。

しかし、“しこり”が見られない場合やウイルスの検出ができない場合は、診断が困難なことがあり、生前の確定診断がつけられないケースも少なくありません。

「猫伝染性腹膜炎(FIP)」の治療

最近まで、猫伝染性腹膜炎(FIP)に対する有効な治療法は確立されておらず、ステロイド剤で炎症を抑える、猫インターフェロン製剤の注射でウイルスを抑える、免疫抑制剤で過剰な免疫を抑制するなどの対症療法が中心でした。
この方法では症状の改善や延命にある程度の効果は示すものの、最終的にはほぼ100%亡くなってしまうため、猫伝染性腹膜炎(FIP)はずっと「不治の病」とされてきました。

しかしながら近年、以下の治療薬を使用した治療実績が多数報告されています。

・GS-441524※1
・レムデシビル※2
・モルヌピラビル※2

※1 イギリスやオーストラリアでは猫伝染性腹膜炎(FIP)の治療薬として承認、日本では未承認
※2 新型コロナウイルス感染症治療薬で猫伝染性腹膜炎(FIP)の治療薬としては未承認

GS-441524は、海外(オーストラリア、イギリス)では以前から使用されており、すでに500頭近くの治療実績があります(2020年10月〜2021年11月)。国際猫医学会(ISFM)でも、猫伝染性腹膜炎(FIP)に対する治療としてGS-441524を使用した治療方法が紹介されています。

しかし、日本では、GS-441524の入手経路が限定されているため、治療費が高額となる傾向があります。 また、違法に製剤され、特許侵害事件に加担する恐れがある類似製品が広く出回ってしまっているなど、問題も多く存在します。

一方でモルヌピラビルは、GS-441524と比較すると治療実績は限られているものの、GS-441524と同様に高い治療効果を有し、比較的価格も安定しています。

当院では、モルヌピラビルを使用することで、1症例あたり100,000~150,000円※ほどで猫伝染性腹膜炎(FIP)に対する治療を実施することが可能です。(当院では国内正規品を使用しており、保険適用可能となる場合がございます。保険適用についてはご加入の保険会社にお問合せください。)
※別途、診察料や検査料がかかります。

また、モルヌピラビルだけでは治療効果が低かったり、症状が重症化し治療に反応しにくくなったりしている場合には、併せて再生医療(細胞治療)も実施することが可能です。

モルヌピラビルだけでなく、GS-441524などの他の治療薬を使っても治療がうまくいかなかった場合にもご相談ください。

6.幹細胞治療について

幹細胞治療は、ステロイド剤など従来の治療薬とは異なる作用で炎症を抑え、免疫バランスを調整します。
従って、今までの治療で効果が乏しかったワンちゃん・ネコちゃんに対しても治療効果を期待することができます。
また、幹細胞治療が効果を示すことにより、ステロイド剤の減薬が可能になった症例も当院で複数経験されています。

幹細胞治療というと大掛かりで大変そうなイメージがありますが、実際は点滴により細胞を投与するだけで麻酔をかける必要はありません。

幹細胞治療の流れ

【問診】

ワンちゃんの状態などをお伺いします

【検査】

細胞治療前の検査の様子

【治療】

細胞投与の様子

お問い合わせ

幹細胞治療は、細胞のもつ炎症を抑える働きや、免疫バランスを調整する働きを利用することで、従来の治療で効果がなかった動物に対しても、腸の炎症を抑え、便の改善や食欲の回復が期待できる最先端の治療法です。

ステロイドの使用についてお悩みの飼い主さまがいらっしゃいましたら、当院までお電話いただくか、お問い合わせフォームよりご連絡下さい。

また、幹細胞治療の有無にかかわらず、セカンドオピニオンも承っております。かかりつけ医様とは別の角度から、治療の進行状況、次の治療の選択などをアドバイスいたします。

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