獣医師が解説 犬のIBD(炎症性腸疾患)

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食欲不振について

犬・猫の食欲不振について

動物病院にいらっしゃるワンちゃんやネコちゃんのご相談の中で、「食欲がない」という主訴はとても多いものです。

ただし、食欲不振の原因は実にさまざまで、簡単に対処できるとは限りません。
特に症状が長引いていたり、だんだん悪化している場合には、深刻な病気が隠れていることもあり、しっかりとした検査や治療が必要になることがあります。

食欲不振の原因

食欲不振を引き起こす病気は数えきれないほどあります。ここでは、動物病院でよく見られる代表的な原因をいくつかご紹介します。

  1. 消化器の病気

    胃腸炎(急性・慢性)ウイルスや細菌、寄生虫、食事内容などさまざまな原因で起こることがあります。

    異物の誤飲や腸閉塞おもちゃや布などを飲み込んでしまうことで起こることがあります。

    慢性腸症(炎症性腸疾患, IBD)長く続く下痢や食欲不振がみられる消化管の炎症性疾患です。

    膵炎膵臓に炎症が起こる病気で、犬では高脂肪食や肥満と関連することがあります。

    口の中の病気(歯周病・口内炎・腫瘍など)痛みや炎症により、食べたい気持ちはあっても食べられなくなることがあります。

  2. 肝臓・胆のう・膵臓の病気

    肝炎や肝不全肝臓の働きが低下すると、全身の代謝に影響します。

    胆のう疾患(胆のう粘液嚢腫、胆管閉塞など)胆汁の流れが滞ることで体調が悪くなることがあります。

    膵外分泌不全(EPI)膵臓の消化酵素が不足し、食欲不振や体重減少を起こすことがあります。

  3. 腎臓や尿路の病気

    慢性腎臓病(CKD)老齢の猫で特に多く見られる病気で、徐々に腎機能が低下します。

    急性腎障害(AKI)中毒(ユリや薬物)や感染などが原因となることがあります。

  4. ホルモンの病気(内分泌疾患)

    糖尿病インスリンの働きが不十分になることで、食欲の変化や元気の低下を招くことがあります。

    副腎皮質機能低下症(アジソン病)元気消失や食欲低下、嘔吐などが見られることがあります。

    甲状腺の病気甲状腺ホルモンのバランスが乱れると、食欲や体重に影響します。

  5. 心臓や呼吸器の病気

    重度の心不全全身に酸素を送る力が弱まり、だるさや食欲不振が起こります。

    呼吸器感染症や胸水呼吸が苦しくなることで、食欲が落ちることがあります。

  6. 腫瘍(がん)

    消化管腫瘍(リンパ腫、腺癌など)腸や胃にできる腫瘍が食欲低下の原因となることがあります。

    全身性の腫瘍(リンパ腫、肥満細胞腫など)炎症や免疫の変化により、食欲が落ちることがあります。

  7. その他の要因

    痛み(骨折、関節炎など)強い痛みがあると食欲がなくなることがあります。

    感染症(FIV、FeLV、FIPなど)特に猫で重要な疾患です。
    炎症や発熱などの全身症状により食欲が低下することがあり、症状の現れ方は個体や病状によって異なります。

    ストレスや環境の変化引っ越し、新しいペットのお迎え、入院なども一時的な食欲不振の原因になることがあります。

受診をおすすめするタイミング

一時的にごはんを食べない程度であれば、少し様子を見てもよい場合もあります。

しかし、

数日間にわたってほとんど食べない

以前より徐々に食欲が落ちている

といった場合には、できるだけ早めに動物病院へご相談ください。
特に、慢性的に食欲が落ちていくときには、重い病気が隠れている可能性があります。

当院で行っている再生医療(幹細胞治療)について

当院では、慢性腸症(CE)や炎症性腸疾患(IBD)、免疫介在性疾患、慢性腎臓病(CKD)など、
食欲不振の原因となることがある、慢性炎症が関与する可能性がある症例において、一つの治療選択肢として検討される場合があります

幹細胞治療は、体内の細胞の働きを利用し、炎症や免疫のバランスを整えることを目的とした治療法です。
現在、国内外の大学や研究機関でも研究が進められており、一部の研究・症例報告において体調や食欲に変化がみられたとされる報告があります。有効性や適応については現在も研究段階にあります。
(効果や反応には個体差があります)

幹細胞治療の特徴

全身麻酔や外科的処置を伴わない投与方法
点滴により投与するため、全身麻酔や外科的処置を行う必要がありません。

日帰りで実施可能
半日ほどお預かりし、検査・点滴を行ったうえで当日お返しすることができます。

副作用について
これまでの研究では重篤な副作用の報告は限定的とされていますが、発熱や体調変化などが生じる可能性があります。
詳細は診察時にご説明いたします。

このような飼い主様にご相談いただいています

  • 一般的な治療を続けても症状の改善が難しい場合
  • お薬の量を少しでも減らせないか検討されている場合
  • 新しい治療の選択肢として再生医療に関心がある場合

再生医療(細胞治療)の費用について

治療方法により費用が異なります。どうぶつの状態に合わせてご提案いたします。

点滴による方法
半日ほどお預かりし、静脈点滴で幹細胞を投与します。
費用:¥220,000(税込)
※診察料・検査料は別途必要です。

注射による方法
幹細胞を筋肉に注射します。入院は不要です。
費用:¥33,000(税込)
※診察料・検査料は別途必要です。

幹細胞治療の流れ

  1. 問診:ワンちゃん・ネコちゃんの状態を丁寧にお伺いします。
  2. 検査:治療前に必要な検査を行います。
  3. 治療:状態に合わせて幹細胞を投与します。

お問い合わせ

幹細胞治療は、体内の細胞の働きを利用して炎症を抑えることを目的とした治療法であり、慢性疾患に対する新たな選択肢として注目されています。
研究が進むにつれて※、より詳しい効果や適応が明らかになってきています。
※当院で紹介している再生医療(幹細胞治療)は、研究が進められている治療法のひとつであり、すべての動物に同様の効果が得られるわけではありません。治療適応や実施の可否は診察により判断いたします。
治療内容や費用、適応の可否などについては、どうぞお気軽にご相談ください。

(再生医療をご希望される際の初診料は**¥3,300(税込)**となります)

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